1.支給要件
国民年金から支給される老後のための年金のことを「老齢基礎年金」と言います。この老齢基礎年金を受けるためには「受給資格期間」を満たす必要があります。「受給資格期間」とは、保険料を納めた期間(保険料納付済期間)と保険料の免除を受けた期間(保険料免除期間)、さらに「合算対象期間」という期間をあわせて、原則10年(改正)以上あることが必要です。平成25年度の定額保険料は15,040円です。付加込保険料は月額400円です。
*国民年金保険料の免除・猶予・追納制についてはこちら(日本年金機構HP)をご覧ください
▽「保険料納付済期間」とは
「保険料納付済期間」とは、第1号被保険者の場合は20歳以上60歳未満の間に保険料を納付した期間を言います。第2号被保険者の場合は、国民年金保険料は厚生年金や共済組合の保険料に含まれていますので、これらの人たちはその制度の被保険者であった期間のうち、20歳以上60歳未満の期間を国民年金の保険料納付済期間とします。第3号被保険者の場合は、別途保険料を払うことはありませので第3号被保険者である間は保険料納付済期間となります。
▽「保険料免除期間」とは
「保険料免除期間」とは、第1号被保険者に認められた制度で、経済的理由などにより、どうしても保険料の負担ができない場合に保険料負担の免除が認められた期間です。
。ただし、学生納付特例制度、 若年者納付猶予制度の適用を受けた期間は年金額算定の基礎となる保険料全額免除済期間 には算入されません。(法27G
▽「合算対象期間」とは
「合算対象期間」とは、簡単に言いますと年金を受け取る権利を判断する受給資格期間には含まれますが、年金額には反映されない(年金額が増えない)期間です。別名「カラ期間」とも言います。
「合算対象期間」の例を挙げるとすると、専業主婦の方の場合、現在は第3号被保険者として国民年金に強制加入ですが、昭和61年4月1日以前は、国民年金へは任意加入(加入するかどうかは本人の自由)でした。そのため、任意加入していなかった人は、受給資格期間である25年を満たすことが困難であるため、昭和61年4月1日以前で任意加入できるのにしなかった期間は「合算対象期間」として受給資格期間に含まれることになります。「合算対象期間」に含まれる期間というのは、このほかにもいくつかありますが、重要なのは、その期間があっても年金額には反映されないということです。
合算対象期間とは、国民年金に任意加入しなかった期間、被保険者から除かれていた者や基礎 年金拠出金の拠出対象とならなかった期間のことで、つぎのように大きく3種類に区分することが できます。
@ 任意加入被保険者として加入することができた期間のうち任意加入していなかった60歳未満の期間
A 国会議員など現在は強制加入被保険者ですが、以前に被保険者から除外されていた期間
B 被用者年金制度の加入者で国民年金制度創設前(昭和36年3月以前)の期間や昭和36年4月以後の加入期間で20歳前及び60歳以後の期間(基礎年金拠出金の拠出対象外の期間)
ご参考 主な合算対象期間の早見表
★以上のような3つの期間を合わせて10年*以上あれば65歳から老齢基礎年金を受けることができます。*平成29年8月より受給資格期間は原則25年から10年に短縮されました。
<質問> 会社を退職した場合は、国民年金に加入しなければならないのですか。→
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の方は、厚生年金や共済組合などの公的年金制度に加入している方を除き、国民年金に加入しなければなりません。
あなたの場合、会社を退職したことにより厚生年金に加入しなくなったことから、国民年金の第1号被保険者として加入していただくこととなります。
つきましては、国民年金加入の届書に必要事項を記入のうえ、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口で加入の届出を行ってください。
なお、あなたが厚生年金の老齢年金や共済組合の退職年金をもらっている場合には加入する必要はありません。
<質問>老齢基礎年金を受けるのに必要な加入期間を満たしていませんが、60歳を過ぎても国民年金に加入できますか。→
60歳になれば、国民年金に加入する資格を失いますが、老齢基礎年金を受けられる加入期間を満たしていない場合は、60歳を過ぎても国民年金に加入することができます。これを高齢任意加入被保険者といいます。高齢任意加入被保険者は、日本国内に住所がある60歳以上65歳未満の方が、65歳までの間に任意に加入することができます。また、昭和40年4月1日以前に生まれた方については、70歳までの間に年金を受けられる加入期間を満たすまで特例的に任意に加入することができます。手続きをしたときから加入することとなり、保険料を納めないと資格を失います。
●60歳以上の者は、原則として被保険者となることは出来ない⇒高齢任意加入被保険者は、例外として被保険者になれる。
●国外に居住し、住民登録を国外へ転出届出済の20歳から65歳までの方は、任意で加入することが出来ます。国外居住中も任意加入することで老齢基礎年金を増やしたり、生涯基礎年金等の受給資格を確保することが出来ます。
65歳時に受給資格を得られない場合は、特例任意加入を申し出てください。
{任意加入}
2.支給開始年齢
★原則として65歳
ただし、60歳から減額された年金の繰上げ支給や、66歳から70歳までの希望する年金の繰り下げ支給を請求出来ます。
3.年金額
・老齢基礎年金の額
老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている人は65歳から申請することにより老齢基礎年金の支給を受けることができますが、その額は、20歳から60歳までの40年間、かかさず保険料を納めていれば年金額779,300円満額がもらえます。
。(フルペンション平成24年度価格)
保険料納付済期間が40年に満たない場合や、保険料免除期間がある場合はその分だけこの779,300円から減額されます。ちなみに、保険料の全額免除を受けた期間は2分の1しか年金額に反映されません。ただ、逆を言えばその期間は1円も納めていないのに2分の1も年金額に反映してくれるとも言えます。また、保険料の半額免除の場合はその4分の3が年金額に反映されることになります。
*現在、満額の老齢基礎年金は平成29年度779,300円
ですが、この額は物価の変動により物価スライドというものが行われ変動することがあります。
▽保険料納付済期間が40年なくても満額もらえる場合
通常、満額の老齢基礎年金を受けるためには40年間、保険料を納付することが必要ですが、大正15年4月2日から昭和16年4月1日までの間に生まれた人については、25年から39年保険料を納めれば満額の老齢基礎年金を受給することができます。
これは、国民年金制度自体の発足が昭和36年4月1日であったため、その時点で20歳を超えている人は制度発足時から60歳までの期間(加入可能月数)が40年間ありませんので、このような制度が設けられました。生年月日ごとの加入可能月数は以下のとおりです。